大学で教えるということ

そう言えば,2006年に東工大でPBL(当時はそうは呼んでいなかった)を始めて今年でもう9年目.来年で10年!(歳とる〜)
最近は,猫も杓子も(おっと,失礼)PBLだの,(形だけの,おっと,失礼) デザイン思考だのワークショップだのをやっているので,ちょっと辟易してきたなか.

辟易してきたというよりも(ちょっと真面目な話をすると),「人は,今まさに学んでいる人から多くを学ぶ」つまり,教える側が,教えていることを”すべて知っている”と(本当は知っていなくても,そのような構えが少しでも出ると),学ぶ側は,教師が持っている「正解」(そんなものは無いのですが)を待ってしまい,「自分が学ぶ」という姿勢から離れてしまうのです.
生徒は正直です.
そのためにも,教える側自身が「生徒よりも一歩先んじて,今まさに学んでいる」という状態に常にいなければならないのだと思います.

私が大学1年の力学の授業(物理学科でした)で印象的だったのは,玉木英彦先生によるゾンマーフェルトの力学(300ページくらいの)でした.昨日まで高校生だったのに,いきなり,静力学です.ハミルトニアンです.まったくわけがわかりませんでした(あ,でも,試験で成績「A」でした(自慢です)).

玉木先生は「わかりやすく教えよう」なんてことはみごとに無かった,授業はぐんぐん進んでいきました.
それまで,高校の物理だけは得意(駿台模試でもいつも全国で5番以内(自慢です))だったので「物理なんてこんなもんさ」とたかをくくっていた私にとって,大学の物理のあまりの難しさ,というか,次元の違いに大きなショックを受けました.それとともに,自分が知っていたと思い込んでいた「物理」などというのは,爪楊枝の先くらいのものだと悟ったとき,その先にある物理学の世界がとても広く見え,感動したことを今でも強烈な感情とともに記憶にあります.

今,振り返ると,何を教えたら良いか分からず手探りで進めていた1〜3年目くらいときの授業(大学院のソフトウェア開発演習という授業で何をどのように教えるべきか悩んでいたとき)が,そのときの学生の反応を見ても今より良い学びの場を作れていたように思えます.

「初心不可忘」

さて…

 

 

yasushi_tanaka

有限会社ケイプラス・ソリューションズ代表,東京工業大学 特任准教授,大阪芸術大学 客員教授,奈良先端科学技術大学院大学 非常勤講師,博士(工学),CMM正式リードアセッサー(非更新 笑)

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